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素直に好きだと口に出してしまえば手に入る、というのなら
おいらは何度となくその言葉を口にする、だろう。
本当に、その未来が、確実とはいえなかろうが、
少しだって、可能性があるとしたら、きっと。
いつの日か朱雀を呼び出し、願いを叶えたら
異界へと帰ってしまうであろう少女にそれを告げるのは、
何だか酷くずるいことのような気がして。
望んではいけない未来だと知っていて。
おいらはその言葉を、今日も、紡げないでいる。
きっと心のどこかで、解っているのだろう。
その言葉を口に出したが最後、
もう後戻りが出来ないこと。
気持ちに押さえが利かないこと。
言の葉の力というのは、そういうものだ。
だから、おいらは今日もただ、朱雀の巫女を護る、
七星士の一人として、彼女の斜め後方を歩くに留めている。
離別へしか伸びていないであろう恋という道を、
ひたすら自分勝手に進めるほど、若くはないのかもしれない。
純粋な、純粋すぎる少女に向かう想いだというのに、
心のどこか片隅で、相応の見返りを欲してしまうであろう
自分が居ることが酷く醜く思えてしまう。
実際問題、少女は純粋すぎるが故に、
おいらが常々こんなことを考えているのだということは知らない。
知らないからこそ、少女は時に残酷に、酷く容易く、
おいら自身の秘めた想いを溢れさせようとする。
まったく、無意識だというのだから、恐れ入る。
もうすぐ、押さえも利かなくなるかもしれない。
だめだ、と知っているのに。
いつか来る、別れのこと、知っているのに。
今日、斗族の長老も言っていたではないか。
前から、薄々感づいていたではないか。
なのに、どうして。
ふぅ、とため息をつく。
今日も変わらず星は美しいのに、おいらの心は重くなる一方だ。
と、自分以外の気配に気付く。
あぁ、これは。
おいらのことを気遣うような、気持ち声をかけるのをためらうような気配は。
振り向く前に、控えめにおいらの名前が呼ばれる。
キミを護るために与えられた名前が。
「どうしたのだ、朱雀の巫女。こんな夜更けに。」
「ちょっと目が冴えちゃったから…」
「それは一大事なのだ。」
「そうでもないような…」
キツネ目の面が、笑う。笑う。
おいらの心の半分を、示しているかのように。
「何か、考え事だったの?」
「おいらが考えること、なんて…ひとつしかないのだ」
「え…?」
純粋すぎる少女は、酷く残酷だ。
今まで、言わずにいたというのに。
気をつけて、出来る限り七星士として接してきたのに。
「いつか来る、キミとの別れのことなのだ。」
もう、自らを止める術なんて、おいらは持っていない。
あとは、ひたすらに離別までの道を歩いていくだけだ。
痛む心と、それでもキミと一緒に居られることを喜ぶ心と、
共に、歩いていくだけだ。
キミを抱きしめる。
抵抗、してくれる気配もない。
嬉しいことなのだが、それ以上に、それ以上に胸が痛い。
こいの、いたみだ。
「いかないで欲しい」
ずるくてもいい。
「傍に居てほしい」
みんなのお姫さま、じゃなく、
「ずっと、そばに…」
おいらの、お姫さまであってほしい。
ずっと、キミを護り抜くから。
傍で、隣で笑っていて欲しい。
キミが居てくれると、いうのであれば、
神を敵に回すとしても、戦い抜いてみせるから。
勝ち続けてみせるから。
どうか、どうか。
「あ、あたし…」
キミから回してくれた腕が、僅かに震えていて、
どうしようもなく、愛しく思えた。
おいらは何度となくその言葉を口にする、だろう。
本当に、その未来が、確実とはいえなかろうが、
少しだって、可能性があるとしたら、きっと。
いつの日か朱雀を呼び出し、願いを叶えたら
異界へと帰ってしまうであろう少女にそれを告げるのは、
何だか酷くずるいことのような気がして。
望んではいけない未来だと知っていて。
おいらはその言葉を、今日も、紡げないでいる。
きっと心のどこかで、解っているのだろう。
その言葉を口に出したが最後、
もう後戻りが出来ないこと。
気持ちに押さえが利かないこと。
言の葉の力というのは、そういうものだ。
だから、おいらは今日もただ、朱雀の巫女を護る、
七星士の一人として、彼女の斜め後方を歩くに留めている。
離別へしか伸びていないであろう恋という道を、
ひたすら自分勝手に進めるほど、若くはないのかもしれない。
純粋な、純粋すぎる少女に向かう想いだというのに、
心のどこか片隅で、相応の見返りを欲してしまうであろう
自分が居ることが酷く醜く思えてしまう。
実際問題、少女は純粋すぎるが故に、
おいらが常々こんなことを考えているのだということは知らない。
知らないからこそ、少女は時に残酷に、酷く容易く、
おいら自身の秘めた想いを溢れさせようとする。
まったく、無意識だというのだから、恐れ入る。
もうすぐ、押さえも利かなくなるかもしれない。
だめだ、と知っているのに。
いつか来る、別れのこと、知っているのに。
今日、斗族の長老も言っていたではないか。
前から、薄々感づいていたではないか。
なのに、どうして。
ふぅ、とため息をつく。
今日も変わらず星は美しいのに、おいらの心は重くなる一方だ。
と、自分以外の気配に気付く。
あぁ、これは。
おいらのことを気遣うような、気持ち声をかけるのをためらうような気配は。
振り向く前に、控えめにおいらの名前が呼ばれる。
キミを護るために与えられた名前が。
「どうしたのだ、朱雀の巫女。こんな夜更けに。」
「ちょっと目が冴えちゃったから…」
「それは一大事なのだ。」
「そうでもないような…」
キツネ目の面が、笑う。笑う。
おいらの心の半分を、示しているかのように。
「何か、考え事だったの?」
「おいらが考えること、なんて…ひとつしかないのだ」
「え…?」
純粋すぎる少女は、酷く残酷だ。
今まで、言わずにいたというのに。
気をつけて、出来る限り七星士として接してきたのに。
「いつか来る、キミとの別れのことなのだ。」
もう、自らを止める術なんて、おいらは持っていない。
あとは、ひたすらに離別までの道を歩いていくだけだ。
痛む心と、それでもキミと一緒に居られることを喜ぶ心と、
共に、歩いていくだけだ。
キミを抱きしめる。
抵抗、してくれる気配もない。
嬉しいことなのだが、それ以上に、それ以上に胸が痛い。
こいの、いたみだ。
「いかないで欲しい」
ずるくてもいい。
「傍に居てほしい」
みんなのお姫さま、じゃなく、
「ずっと、そばに…」
おいらの、お姫さまであってほしい。
ずっと、キミを護り抜くから。
傍で、隣で笑っていて欲しい。
キミが居てくれると、いうのであれば、
神を敵に回すとしても、戦い抜いてみせるから。
勝ち続けてみせるから。
どうか、どうか。
「あ、あたし…」
キミから回してくれた腕が、僅かに震えていて、
どうしようもなく、愛しく思えた。
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