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君を独り占めしていていいのは俺だけのはずなのに
どうして君は俺の隣じゃなくて、そいつの横で笑っているの?

俺はそんなに心が広い方じゃないし、独占欲はハンパなく強い。
例えばそれが食べ物だろうと何だろうとそうなのに、
大好きで大好きで、本当なら片時も離れたくないと思えるほど、
君と今、好き同士で居られるなんて奇跡だなんて思えるほど、
大好きな君のことになったら、もう押さえなんて利かないのに。

俺の前で、そいつと一緒に笑わないでよ。
俺の居ない所で、そいつと一緒になんて居ないでよ。

君はずっと俺の前で笑っていて欲しいんだよ。
あ、でも泣いてる君も、怒ってる君も好きだけど。
でも一番は笑顔だから。笑っていて欲しいんだよ。

君を笑顔に出来るのはいつだって俺がいいんだよ。

だから、そんなに嬉しそうに楽しそうに、
俺以外の前で笑ったりしないで。
俺以外に、そんな表情を見せないでよ。


そんなこと思っていたら、視界の端、君が振り向いた。
どうやら君が俺の視線に気がついてくれたわけじゃなくて、
君と一緒に話してた奴が、俺の視線に気がついただけだった。
君はきょとんとした顔をして、直ぐに不思議そうに眉根を寄せた。

「どうしたの?」

俺はその声に答える訳でもなく、かといって表情を和らげる訳でもなく、
ただただ、君の顔から視線を逸らした。
本当は、君の視線がやっとで俺に向いて、嬉しかったのに。

鈍感な君に、少しだけ悲しくなった。

俺の不服に気付いてるそいつに、無性に腹が立った。


分かってるくせに、気付いてるくせに。

イライラする、いらいらスル。


俺の彼女、今すぐ返せよ!


俺がそんなことを思ってるなんて、
そんな女々しい奴だなんて知らない彼女は、
またそいつとの話の続きを始めてしまった。

俺のところには会話の内容なんて聞こえてこないから、
あとどのくらいこの地獄みたいな光景が続くのか、なんて分からない。

それに、そんないつ終わるのか分からない時間を待てるほど気も長くない。
耐え切れなくなったら無理やりにでも彼女を引っ張ってこれば
いいのだろうけれど、出来ることならそんなこともしたくない。


「どう、しよ…」


無理やり会話を打ち切ったら、彼女はきっと怒るだろうな。
嫌われちゃうかもしれない、それは絶対嫌だ。
理由を言って、その場は許してくれても、後々わだかまりは残るかも。

色々俺が考えてる間にも、絶え間なく君の声が聞こえてくる。
弾んだ声音に誘われるように視線を戻すと、俺の大好きな笑顔。

ただ、向ける相手が俺ではないんだけれど。


たまらず携帯を取り出して文字を打ち込む。

君が視界に映る距離でメールを送るのは初めてだった。

君のポケットから着信音。メールの受信があったことを伝える。
流れたのは、俺の大好きな曲。ヤバイ、泣きそう。


会話を中断してメールを開いた君は、一瞬目を丸くして、それから、


相手に手を振ると直ぐに、俺の元へと駆けてきてくれた。
俺は少しでも君との距離が縮まるように、大きく手を伸ばした。


「なに泣きそうな顔してるの…」

「うん、ごめん」

「気付かなくてごめんね」

「もう、いいんだ」


腕の中に君。
優しい温もり。
さらさらの髪、折れそうなくらい細い体。
少しだけ、落ち込んだ声。…俺もか。
全部、全部抱きしめた。

あいつからは見えなくなるように、
ぎゅっと。君をすっぽり包み込んで。


「きてくれて、ありがと」

 

俺の送ったメールは、完結に一言だけ。


「今すぐ俺の所に来て」


君が俺を優先してくれたことが、何より嬉しかった。

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