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真っ暗で足が踏み出せなかった。

そのまま暫く止まっていたけれど、
目が暗がりに慣れるまでは待っていられないから、
ソロソロと、壁を伝って前へ進むことにした。

周りからはいかにも、って感じの、雰囲気満載の音楽が流れてくるし、
いつ何が起きるか分からない、何が飛び出すか分からない、
そんな空間にいるんだ、って思ったら、のどがカラカラになった。
慌てて、ツバを飲み下そうとしたけれど、緊張のせいで上手くツバも出ない。

ようやく暗闇に目が慣れたのは、かなり歩いた後だったけれど、
ココまではなんとか、ビックリするようなことは起こってない。


これからなんだ。

そう思って引き返したくなったけれど、
ふと横を見たときにキミの横顔がぼんやり闇に浮かび上がってた。

キミもさっきから小さな音がする度、オレと同じように方をこわばらせて、
それでも前に進んでいた。


「怖くない、怖くなんか…ない…大丈夫…大丈夫…」


小さく、キミが呟いた言葉は、そのまま暗闇に溶けていった。
言葉が少しだけ震えていて、…何だかおまじないにしろ、思い込みにしろ、
あんまり効果がなさそうで、やっぱり女の子なんだな、可愛いなぁと思った。

(でもきっと同じことオレがしてたら、もっと言葉は震えてた気が、する)


「あ、のさ…その、え、っと…」

「ひゃぁあ!?な、何、なに、かな…!?」


思いつきで声をかけたら、ビックリしたみたいで、
キミは今日一番、肩を跳ね上げていて、悪いことしちゃったかもしれない。

だけど、伝えたいことは伝えて、と前にキミが言ってたことを思い出して、
もう一回、勇気を振り絞ってキミへ言葉を紡ぐ。


「オレ、がんば、るよ!だ、から、一緒にがんば、ろォ…!」


言う間、ギュ、とつぶっていた目をゆっくり開くと、
目をまん丸にしたキミの顔が見えて、
やっぱり余計なお世話だったかも、とオレは目を逸らしたくなる。

でも逸らす直前。

ほんの一瞬だけれど、キミの顔が綻んだのが見えた。

いつもみたいに笑ってくれたんだ、って思ったら、キミの顔が見たくなって、

逸らしかけた目をもう一度キミに向ける。


「ありがと!じゃぁ、一緒にがんばろ!」


最上級の笑顔を見せてくれたキミはと言うと、
オレのほうにピッと手を伸ばしてくれてた。

恐る恐るキミの手に自分の手を重ねると、
そのままキミは嬉しそうに笑ってオレの手を握る。

それだけで、ココが今まで怖かったのが嘘みたいな気になるんだから、
どうもオレの頭の中はすごく現金にできているな、と思ったけれど、
キミの小さな手も震えてなんていなくて、
多分さっきまで冷たかったはずの手は、徐々にあったかくなってきている。

じんわり、あったかさがオレのほうに伝わってきて、
君からもらったあったかさで、オレの手もあったかくなって。


だから、重ねたまま、握られたままだった手を、今度はオレからも握り返した。


冷たかったお互いの手があったまったら、

こんな暗がりとはもうおさらば、外はすぐそこ。








三橋あたりにしておきたい、お化け屋敷デートちっくなもの。
ときメモGS2やってたら、書きたくなった。
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